セレナード第13番ト長調《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》2
曲は《ドン・ジョヴァンニ》と並行して書かれたとは思えないほど姿が優しく、イージーリスニング向きにできている。
暗い影がほんの少し横切るのは第二楽章の中間部だけで、あとは十八世紀の理想郷〃憂いのない〃世界で、すべては優雅でギャラントで、しかも高貴である。
さて録音の数は星の数ほどあり、中にはカプリングの都合で入れました、というような平凡なものもあり、その全部を聴くのは容易ではないので、お許し願いたいが、どれをすすめるかということになれば、まずは星の中でも最も巨大な星、シャンドール・ヴェーグとカメラータ・アカデミカの演奏に指を屈することになろう。
この演奏を聴けば、従来の演奏が、いかに耳に快い、イージーリスニング的な、愛らしい、魅力的な、といった形容詞の線だけに沿って行なわれてきたかがすぐにわかるであろう。