古代美術の装飾 3
トロイア戦争の時のギリシア軍の総大将であり、ギリシア悲劇の主人公になる王にふさわしい威厳と哀愁をもつ顔です。
これにたいして別な人相のものもあります。
大きな円頭には髪はなく、薄い眉の下から大きな眼が、閉じているのかもしれませんが、なお睨んでいます。
口舞も薄く口許は緊まっています。
怪僧のようです。
ここには戦国時代の荒浪をのりきる王者の精力が露わにでています。
他のマスクもやはり個性的で同一ではありません。
これらのマスクこそヨーロッパで最初の肖像だといわれます。
城外の円形墓地Bからも1個が発見されていますが、黄金製ではなくエレクトロン製であって、眼を閉じており、Aのものよりは素朴です。
ミケネの王や一族はマスクのほかに輝くばかりの黄金の宝飾品を身につけ、また側において葬られていました。
四弁の花とか渦巻を表わした大小の耳飾り、大きな花文や連渦文を打出した腕輪、鳥やザクロを連ねた頸飾り・・・
またタコ舟、ユリ、キヅタ、花などがある2センチから7センチの小浮彫板は頸飾りか垂飾りの一部かもしれません。
また、渦巻、タコ、蝶、花などの浮彫りのある6センチ前後の小円板が、ある一つの墓だけでも数百も発見されましたが、これは齎物につけていたと推定されます。
また鳩が守る祠堂の打抜き細工はクノッソスの礼拝所を思わすし、黄金製の天秤は珍しいものです。
その他に多くの小さな打抜き像がみられました。
黄金の冠(ミケネ第3墓出土、前16世紀)は女性の墓から出ました。
王妃か王女のものでしょう。